おわりに


「ダチケンゼミ」は、大阪大学足立研究室(ダチケン)に所縁のある研究者有志の研究会として、2015年6月19日に始まり、不定期にゼミを重ねて第17回を迎えました。この間、メンバーが順次、主として、その研究活動や近年の建築界の論題を紹介し、意見交換を行ってきました。

 

第8回(2017年3月13日)の場で、2019年が足立孝先生の生誕百周年に当たることが紹介され、記念論文集的な著作の話も一旦は出たものの、資金皆無・短期間での出版という厳しい状況に鑑み、直ぐに立ち消えました。しかしその後、第14回(2018年12月18日)に再び話題に挙げられ、電子出版的な方途なら可能かも知れないという意見も得て、先端的な課題の研究会という「ダチケンゼミ」の本旨からは外れるかも知れないけれども、俄かに、着手してみることになった次第です。

 

内容の企画案としては、中心的な主題を設定して各メンバーが執筆する形ではなく、それぞれの近年の研究成果を集約することとしました。某出版社に諮ったところ、そのような内容・形式の著作物は、現下の出版市場では「売れる」見込みがないとのご助言をいただき婉曲に断られましたが、私達としては、「売れる」ことが目的ではなく、足立孝先生の生誕百周年という節目を記念する論文集として、世に出しておきたいと願っているものであります。

 

以来約9ヶ月、全てを手作りし、漸く日の目を見ることができそうで嬉しく思います。本書が、近年の日本の建築計画研究に、いささかなりとも貢献するところがあれば、「ダチケンゼミ」一同、望外の喜びであります。

 

2019年9月30日

 

「ダチケンゼミ」